テクニカルインフォメーション

HICによるモノクローナル抗体の酸化体分析

バイオ医薬品の製造中や保管中には、細胞内や培養液中で生じる酵素反応や物理化学的相互作用などにより、目的物質とは異なる性質を有する分子変化体が生成します。これらの特性を解析することは医薬品の有効性・安全性を保証するうえで重要です。
分子変化体の一つである酸化体は、疎水クロマトグラフィー(HIC)により確認することができます。ここでは、モノクローナル抗体とその酸化体をHIC用カラムBioPro HIC BFを用いて分離した例を紹介します。

モノクローナル抗体の酸化処理

メチオニン残基を特異的に酸化するtert-Butyl hydroperoxide (t-BHP) を用いて、NIST mAbを酸化しました。
さらに詳細な情報を得るため、パパイン消化によりFcフラグメントとFabフラグメントに断片化しました。

酸化体(全長)の分析

酸化体(全長)をBioPro HIC BFを用いて、低流速で緩やかな塩勾配の条件で分析しました。移動相の塩に(NH4)2SO4を用いたクロマトグラム(a)では、非酸化抗体の前に酸化体と推測される4本のピークが観測されました。メチオニンが酸化によりメチオニンスルホキシドを生成し、極性がより高くなるため、非酸化抗体よりも低疎水側に検出されたと考察されます。 塩をNaClにすると(クロマトグラム(b))、さらに分離が向上し8本の酸化体ピークが検出できました。

Column BioPro HIC BF 4 µm, 100 X 4.6 mmI.D.
Eluent A) 塩を含む 100 mM NaH2PO4-Na2HPO4    (pH 7.0)
B) 100 mM NaH2PO4-Na2HPO4 (pH 7.0)
40-80%B (0-40 min), 80%B (40-45 min)
Flow rate 0.3 mL/min
Temperature 25°C
Detection UV at 280 nm
Injection 5 µL (1.0 mg/mL)

断片化した酸化体の分析

パパイン消化により断片化したフラグメントを分析しました。 非酸化体の分析においてFabとFcの分離が確認できました。酸化処理したフラグメントの分析では、 FabおよびFcの低疎水性側にそれぞれの酸化体と推測されるピークが検出されました

Column BioPro HIC BF 4 µm, 100 X 4.6 mmI.D.
Eluent A) 100 mM NaH2PO4-Na2HPO4 (pH 7.0)
     containing 2.0 M (NH4)2SO4
B) 100 mM NaH2PO4-Na2HPO4 (pH 7.0)
40-80%B (0-10 min)
Flow rate 1.0 mL/min
Temperature 25°C
Detection UV at 280 nm
Injection 5 µL (0.5 mg/mL)

*Journal of Chromatography A, 2008, 1214, 81-89