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No.12 試料の溶解溶媒について

HPLCにおいて試料は溶離液に溶解するのが基本ですが、試料の溶解性や前処理等の都合で、必ずしも溶離液に溶解できない場合もあります。このとき、溶離液と試料の溶解溶媒で溶媒強度の差やpHの差が大きいと、ピーク割れやピークがブロードになるなどの問題が起こることがあります。この現象は、試料溶媒がカラム内で一時的に溶離液と置き換わることにより試料が拡散したり、解離状態が変化したりするために起こると考えられます。このような問題が起きた場合の解決例を紹介します。クロマトグラム(A)は水に溶解した試料を2 μL 注入したもので、ピーク1にショルダーが生じています。試料溶液のpHと溶離液のpHが異なっていたので、この試料を溶離液で2倍に希釈してpHの差を小さくした後4 μL 注入すると、クロマトグラム(B)に示すようにピ-ク形状は改善されました。

このほかの解決方法としては、試料の注入量を少なくする、試料溶液を溶媒強度が小さい溶媒で希釈するなどがあります。ピーク異常が認められた時、試料溶液を確認して、溶離液と異なる場合はこれらについて検討してください。