テクニカルインフォメーション

リサイクル分取HPLCシステムによるキラル化合物の高純度精製

マルチ分取HPLCシステムLC-Forte/Rはリサイクル機能を標準搭載しており、1回の分取では分離が困難な化合物について、カラムや移動相を変更することなく高い純度で精製することが可能です。また、多糖誘導体をキラルセレクターに持つキラル分離用カラムCHIRAL ARTは、内径30 mmまでの充填カラムをラインナップしており、分析から分取まで幅広く対応できます。
LC-Forte/RおよびCHIRAL ARTカラムを用いた、フルルビプロフェンの高純度精製例を紹介します。

フルルビプロフェンの分離(分析カラムにおける検討)

分析カラムで条件検討を行い光学分割が可能な最適条件を設定しました。設定した条件において、分取用に負荷量の検討を行いました。一般的にピークが完全分離している目安となる分離度は1.5以上になるため、分離度1.5以上となる負荷量を設定します。

最適条件設定

Column CHIRAL ART Cellulose-C (5 μm)
250 X 4.6 mmI.D.
Eluent n-hexane/2-propanol/TFA (95/5/0.1)
Flow rate 1.0 mL/min
Detection UV at 254 nm
Injection 5 μL (1 mg/mL)

負荷量の検討

サンプル濃度:20 mg/mL


注入量
(µL)
負荷量
(mg)
分離度
(Rs)
5 0.1 1.8
10 0.2 1.61
13 0.26 1.53
15 0.3 1.45
20 0.4 1.31

内径30 mmカラムへのスケールアップ

単カラム分取

分析カラムで得られた結果(注入量 13 µL)より、分取カラムへスケールアップを行います。内径30 mmでは、分析カラムの断面積比倍(約45倍)の585 µL(負荷量:11.7 mg)注入することで、分析カラムと同様の分離が得られます。精製量を上げるためにはさらに負荷量を大きくする必要がありますが、その場合、現在の分離度や回収率を維持することは困難なため、リサイクル分取を検討しました。

分取クロマトグラム

分取条件
Column

CHIRAL ART Cellulose-C (5 µm)
250 X 30 mmI.D.

Eluent n-hexane/2-propanol/TFA (95/5/0.1)
Flow rate

45 mL/min

Detection UV at 280 nm
Injection 585 µL (20 mg/mL)
分析条件
Column

CHIRAL ART Cellulose-C (5 μm)
250 X 4.6 mmI.D.

Eluent n-hexane/2-propanol/TFA (95/5/0.1)
Flow rate

1.0 mL/min

Detection UV at 280 nm
Injection 5 µL

リサイクル分取

リサイクル分離はカラムから溶出した成分をカラム入口に戻して繰り返し分離することで長いカラムを使用した場合と同じ効果を得る分離法です。LC-Forte/Rは独自の新規流路を採用することでカラム外拡散を低減し、効率が高い分取精製を実現します。このため、単カラム法では1回の分取量が少ない場合でも、リサイクル法を利用することで高効率な分取が可能となります。また、リサイクル分取中は移動相を循環させるため、溶媒消費を大幅に削減できます。

CHIRAL ART Cellulose-C

分取条件
Column

CHIRAL ART Cellulose-C (5 µm)
250 X 30 mmI.D.

Eluent n-hexane/2-propanol/TFA (95/5/0.1)
Flow rate

45 mL/min

Detection UV at 280 nm
Injection 28.1 mL (20 mg/mL)


562 mg負荷* *単カラム法より推定

分析条件
Column

CHIRAL ART Cellulose-C (5 µm)
250 X 4.6 mmI.D.

Eluent n-hexane/2-propanol/TFA (95/5/0.1)
Flow rate

1.0 mL/min

Detection UV at 280 nm
Injection 5 µL
  単カラム分取 リサイクル分取
Column : 250 X 30 mmI.D. 前成分 後成分 前成分 後成分
光学純度 (%ee) >99 97 >99 99
回収率 (%) 87 74 89 90
生産性 * (mg product/hr) 122 103 335 336
溶媒消費量 (L solvent/g product) 22 26 2.0 2.0

*単カラム分取の生産性は、試料を2.5分毎にスタック注入する想定を含めて算出

単カラム分取とリサイクル分取

単カラム分取では、十分な分離度がないと高効率な高純度精製が難しくなります。一方で、リサイクル分取では、単カラム法で分離が不十分でも繰り返し通液を行うことで分離が向上するため、分離度が不十分でも高効率な分取精製が可能となります。
高効率な分取が可能な分離度の目安は、分析カラムでの検討時の数値で、単カラム分取では4以上、リサイクル分取では1以上となります。類縁物質や光学異性体など、分離が不十分な場合にはリサイクル分取が有効です。